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花sakuブログ

工夫や知恵は困ったときにこそ生まれる
2020年05月09日


こんにちは。

saku 編集部の大下直子です。
緊急事態宣言が延長されました。
引き続き、テレワーク&ステイホーム週間です。
お陰様で、毎日の通院がしやすいという、
思わぬ不幸中の幸い(?)もあり、個人的には落ち着いて暮らしております。

 

ロケが多くなる季節なので、例年はお外で活動することが多いですし、
プライベートでもおにぎりやビールなんぞをリュックに詰めてハイキングに行くことも多いので、
この季節にこんなにもお家に長くいるというのは、生涯初めてかも知れません。
行く予定だった公演もコンサートもすべてなくなりまして、テレワーク以外は散歩をしたり、
静かにひたすらマスクを縫う日々です。


マスクマストな職種で必死で働く友人たちや、
お世話になっている整形外科や介護施設の分を縫って寄付するという毎日。
個人で縫える枚数は限りがありますが、コツコツやっているとなんとなく気持ちも落ち着きます。
いくらもはかどらないんですけどね。ときどきとてもかわいらしいお手紙をもらうことができて、ほっこり。
誰かのためにマスクを縫うことで、自分自身が幸せを手に入れているのだと、あらためて思いました。

S__20627458.jpg
(お礼状写真)


試行錯誤を経て、
今は、キッチンペーパーや不織布を挟んで効果を高めることができるタイプに落ち着いてきました。
初期の不出来なものしかお届けできていない方には、
順次、このタイプを追加でお送りしようと思っています。繰り返し洗って使えますし、
中にキッチンペーパーでは無くて不織布タイプのサージカルマスクを切って入れると、
一枚のマスクが23回使えます。

200509_masuku.png



手芸はあまり得意ではないし、
めまぐるしい日々でミシンをかける時間などほとんど無かったのですが、
お嫁入り前からミシン積み立てをしてミシンを持たせてくれた亡くなった母が
きっと天国で腰を抜かしていると思います。母は手芸がとても上手でした。


まず、やったことがないことをしていますので、最初は失敗作もたくさんできましたし、能率も悪かった。
全国各地でマスクを縫っていますという投稿があったり、
須藤紀子さんのマスク作りのボランティア活動をするグループに入れていただき皆さんの投稿を見たりしているうちに、
少しずつ工夫をして、少しずつ早く、多少はマシな物が作れるようになってきました。

一つひとつ切っていると時間がかかるので、同じ工程を一気にまとめて縫う。
あとで切って玉留めする(もっぱら夫の仕事になってきました)

S__20627463.jpg

 

ダダダダダダダダダーとミシンをかけながら、いろいろなことを考えるのですが、
ふと「家族のためにマスクを作る」という……、全国各地で今、お母さん、奥さんたちがやっていることが、
なんとなくかつての紬と似ているような気がしてきました。
農家のおばあちゃんや、おかあさんたちが、出荷できない繭で紬を作る。
ちょっと縞にしてみたり、格子もいいな、そして模様を入れてみたり……なんていうふうに、
きっと各地で色々な染織が生まれ、そして育まれていったのでしょう。
きっと、「新しい暮らし」のなかで、
マスクはファッションや気候に合わせて個性的におしゃれになっていくのかもしれません。

 

私は、『花saku』の取材で全国各地の産地や作り手の皆さんのところを訪ねることができました。
トータルで250箇所くらいでしょうか?もっとかな? 染織は、その地域の気候風土ならではの、
その地域にあるものを材料にしていることがとても多く、道具などもそれぞれ手作りしたり、
工夫をされたりしています。


たかが12ヵ月マスクを縫っただけで何かを言えるような物ではありませんが、
きっと、足りないときや困ったときに知恵や工夫が生まれるのかもしれません。
そしてやっているうちに、どんどん質が向上していくのかもしれませんね。

いつ頃までマスクを縫い続けるか、コロナウィルスの感染拡大のこれからのことは分かりませんが、
一生懸命にマスクを縫い続けることでとても穏やかで幸せな気持ちになれますし、
学びも多くありがたいことだと思っています。

そして、全国各地のご縁をいただいた作り手の皆さんがどうか凹まず、腐らず、落ち込まず、
なんとかこの難局を頑張って生き抜いてもらいたいなぁと、
次々にお世話になった皆さまのお顔を思い浮かべながら思っています。


200509_list.png

(『花saku』全国染織探訪で取材させていただいた工房一覧:約250)





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