こんにちは。
花saku 編集部の大下直子です。
ステイホームで原稿を書いたりマスクを縫ったり。案外退屈しないどころか、
家の中でやりたいことがいくらでもあって困っちゃいます。
太っちゃいます。いや、太っちゃいました???
会社が東京、自宅が千葉。レインボーブリッジは見えませんが、
段階的に新しい生活に向かっていく……ということで、健康を維持しながら新しいルールを守り、
オトナの自覚を持って頑張ります。
発売間もない半幅帯を特集した6月号、早くも大反響。
お読みいただいた方、感想を寄せていただいた方、ありがとうございます。
さて、今週の月曜日のブログに「梅」を書いて「松」も書いて、
なんとなくモヤッと終わってしまったブログ。
どうしたって梅と松を書いたら松竹梅といきたいところ。
なので、おいてきぼりになった竹と、「それだけじゃしょうがない」ということで、
その他の文様についても少し、偏った(笑)個人的考察をしてみたいと思いま〜す。
竹
コロナ禍の営業自粛や失業などによって、心が折れそうな人が増えてきました。
10万円の申請書が家に届くのを待っている「マイナンバーカードない派」です。
コロナウィルスに感染しないことはもちろんですが、
くたびれちゃっている人や、疲れ切っている人、
絶望している人がなんとか前向きになれますようにと心から思います。
竹は成長が早く、柔軟にしなり折れにくいため、子供の衣装によく描かれてきました。
心が折れそうな人、ぜひ竹の文様を身に着けてみてはいかがでしょうか。気は心……ですけどね。
また、竹には節があり、病気や苦難、「人生の節目」を乗り越えていける願いが込められてきました。
今、まさに人生の節目というより、「人類の節目」とも言えるこの時期に、
節目を乗り越えていけますように!!ってほんと、そう思います。
ちなみに、竹が絵やきものに描かれるとき、
竹の先端まで全部を描くことはなく、必ず切れた状態で描かれました。
永遠に命を育むとの願いが込められた所以です。
椿
古事記の時代から、椿は魔除けの力を持つ植物とされており吉祥文様です。
宮中では、椿の枝で作った杖を魔除けにしていました。
理由は、椿の葉が厚く艶やかなので、そこに古人は生命の象徴を感じたからと言われています。
椿の語源は「艶葉木(つやばき)」からきています。
葉っぱを眺めてみるとまさによく艶めいた葉ですね。
古くは、神の依代(よりしろ)となり春の訪れを告げる木とされていました。
花がポトンと落ちることから、武士たちは「首が落ちる」と
不吉に思って嫌ったため紋章には椿が少ないといわれていますが、
江戸時代の初期の茶人、遠州流茶道・華道の祖として知られる小堀遠州が、
ことのほか好んだとされる「遠州緞子」の中にチョウチョみたいなかわいらしい椿があり「遠州椿」と呼ばれています。
小堀遠州といえばルー大柴さん。
はて?
そう、『花saku』で4月号から連載が始まったルー大柴さんは、
なんと! 遠州流茶道の師範大柴宗徹でもあるのです。
「ティーをトゥギャザーしませんか?」というルー語で書かれた連載。
毎号面白くて私も楽しみにしているので、ぜひ読んでみてください。
気軽に楽しめるティー道を独特の語り口で指南してくださっています。
6月号はさらなる才能を発揮していらっしゃいます。すごいなぁ。
ついでに「おい、それはティー動か?」 とも言える独自の体操「gymgym」もお勧めです。
何の話だ? 椿だ!
物事の始まりを意味する「白」と、春の訪れを告げる「椿」の組み合わせは、事始めの着物として、とても縁起が良いとされています。
まさに、今、「新しい生活様式」が始まろうとしています。
さて、今回のブログの最後に登場するのは
菖蒲
「しょうぶ」と入力しても、「あやめ」と入力しても同じ漢字が出てくるんです。
どっちも漢字で書いたら同じ文字になるのに……違うんですよね?
なんという分かりにくいことになっているのでしょうか?
オマケに、色の名前にも「菖蒲色」なんていうのがありまして、
これは実にややこしい。そこに燕子花(カキツバタ)が参戦しますともう、
三つ巴の混乱が起こってくるわけです。ちなみに、燕子花は杜若とも書きますね。もういやん。
ここで説明をしますと、キリがない……というか、上手く説明ができそうもありませんので、
見分け方が書かれたサイトをいくつか貼り付けておきますね(逃げてる?)私はなかなか見分けられません。
【5月の花】アヤメ?ハナショウブ?カキツバタ??違いを見分けよう!
https://matome.naver.jp/odai/2139886191150689201
Chiiki|あやめ・しょうぶ・かきつばたの違いは?見分け方を解説!
https://chiik.jp/articles/Gc9oG
歩いてみたブログ|菖蒲・アヤメ・カキツバタの違いと見分け方
https://iwalkedblog.com/?p=20951
菖蒲は古くは「あやめ」と呼ばれ、菖蒲の字をあててから、
音が「尚武」「勝負」に通じることから、特に武家では尊ばれました。
そのため甲冑、武具、馬具などにも多く使用されているんです。
長寿のまじない、魔除けとしても用いられ、今も5月の節句にその習慣が残っていますね。
ステイホームのゴールデンウィークまっただ中、」5日の端午の節句の際に、
お風呂に入れて「菖蒲湯」を楽しまれた方も多いのではないでしょうか?
そう、菖蒲は、延命長寿を願う花のひとつでもあります。うん、この時期、見逃せないかも!!
さてさて、ここまで来ると着物ファンの多くは、
上皇后陛下美智子様が琳派の帯をお締めになっていらっしゃるのを記憶している方も多いのではないでしょうか。
金色の地に紫色の花が咲き誇る凜とした帯を。
こちらは、根津美術館で鑑賞することのできる尾形光琳筆による「燕子花(かきつばた)図」(もちろん国宝)を帯に写した物で、
純金の六曲一双屏風に描かれたカキツバタが印象的で、
見れば「ああ! うんうん!! 見たことある」と誰もが思い出す教科書にも載っていたあの屏風です。
あれぇ〜〜、これは菖蒲じゃなかったの〜〜?
やっぱりこの区別は、最も難しい区別ベスト10の上位に食い込むのではないでしょうか(笑)
どの資料を調べてみても出てくる、『伊勢物語』の中の「東下り」の八橋という説明。
読破したり暗記したりしている人もそう多くないような気がするのですが、必ずその説明が出てきます。
私がすごいなと思うのは「折句」です。今風に言う津「縦読み」ですか? 縦に読むと「か・き・つ・ば・た」となる。
これは、暗号のように使われたり、言葉遊びの一種だったりするのですが、浮気している人とかがやる暗号ですよね?
あした
いないから
仕方ない。
手はずは整えたので
留守をヨロシク。
みたいな……(笑)
こんな時代からこんなしゃれたことをしていたのね〜と、ちょっぴりうれしくなる燕子花です。
『伊勢物語』の中の「東下り」の八橋と意味はこちらをクリック
http://www.kokugo.aichi-edu.ac.jp/taguchi/kyuuseki.html
いわゆる「折句」になっているくだりは
から衣
きつつなれにし
つましあれば
はるばる来ぬる
たびをしぞ思ふ
根津美術館、燕子花図リンク先
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/collection/detail.php?id=10301
追加ですが、趣味の切手週間がたまたま尾形光琳でしたね。
同じく国宝の「紅白図屏風」の切手。もちろん早速買いました♪
向こう2週間くらいの間に私と文通をした方にはこの切手が貼られるかも(笑)
http://moon-water.org/beautiful/art/20120219ogata/index.htm
話を菖蒲に戻しまして、非常事態宣言も解除され、残すは一都三県のみ。
まぁ、編集部は東京都にあり、自宅は千葉県にある私
(残りの編集部メンバーはなぜか全員埼玉県民で、今頃そのへんの草を喰っていますww)。
なので、私はまだまだステイホームのテレワークではございますが、全国的には少し活気が出てくる頃でしょうか。
感染には十分注意をしながら、「さぁ、そろそろ勝負に出るぞ!」と
気合いを入れている方にはことのほかお勧めの菖蒲の文様です。
そして、なかなか外出もままならないけれど、きものを着たいよ〜〜〜っていう方は、
ぜひ、半幅帯で菖蒲に出てみませんか? いや、勝負に出てみませんか?
この夏は、半幅帯のご活用をお勧め♪
6月号は「すらり、しゃなりと歩きたい 再考 大人の半幅帯姿」
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