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教えて安田先生 きもの塾

第102回 扇子を使いこなす
2016年10月20日
留袖につきものの金銀に黒骨の扇子。正装では帯にはさんでいるのですが、金を表に向けるのか、銀を表に出すのか……、それともケースバイケース? また、挨拶などで立つときにはどうすればいいのでしょうか。ブライダルシーズンにむけ、扇子の使いこなしをおさらいしましょう。〝さすが、着慣れていらっしゃる。優雅〟と思われるに違いありません。
モデル/藤代恵子さん

 

 

正しく持ち、正しくしまう

れが正しい立ち姿。手は自然な高さで前にし、右手で末広の要の少し上のくぼんだ部分を持ち、左手で軽く受けて持ちます。相手には銀の面が向きます。ご挨拶などのときにはこの姿勢となります。

 



帯びに預けるとき
                                      
手に持っていることができないときに、帯に差して預けておきます。
 
1. 右手で要を持ち左手で時計回りに回転させ、自分のほうに縦にむけます。要が自分のほうです。
 
2. 左手をすべらせるように右手に寄せ、下まで下げます。
 
3. 左手はそのままに右手を上にします。(手が入れ替わっています)
 
4. 左手で帯を開けつつ、右手で末広を持ち、前板に沿わせるように左側にやや斜めに差し込みます。表には黒骨が見えています。
 
5. そのまま差し込みます。一度に差し込まず2回に分けて差し込みます。
 
6. 完成です。指2本分くらいを帯から見えるように出します。儀礼用扇子は、見せるものではなく自分の慎み、相手に対しての礼儀で持つものなのです。

教えてください先生


なぜ、相手に銀の面を向けるのでしょうか?

扇子を開いたときは表が上になります。したがって、そのまま自然に扇子を閉じると裏側は相手のほうに向くことになります。金銀の場合、表側である金を自分が見ているという設定になりますので、銀が相手に向くことになるのです。なお、扇子は挨拶などで前に置く場合などを除き、下に置かないほうが良いでしょう。踏んだり、つまづいたりして粗相しないように。帯にはさむ、バッグの中にいれるといった心遣いがあるといいですね。

 


帯から外すとき
                                                 
1. 右手を末広に添えます。
 
2. さらに左手を添えます。
 
3. 3回にわけて引き出します。ゆっくりと1・2・3と数える気持ちで。

4. 3で右手が要にかかります。

5. そのまま右手で抜いて、左手で受けます。


着座の場合
        
1. 右手に要があり、左手で受けています。同じく銀の面は相手のほうに向きます。
 
2. そっと両手で膝の前20センチぐらいの位置に置きます。
 
3. まず、左手を離し、膝の上に。
 
4. 続いて右手を膝の上にもってきます。このときに手は組まず、膝の上でハの字に置きます。
※手を組んでいるのはくつろぎの姿勢で、正式な場所ではハの字に置きます。