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日本の伝統色と襲の色目


 

季節の色

当時は具体的にきものの柄を写実的に表すのではなく、色を組み合わせることでそれぞれの季節を表現していました。
季節と情景を表す呼び名に、王朝文化の華やかさと優れた感性を感じます。

表地と裏(八掛)、きものと半衿といった工夫で現代の装いにとりいれるのもいいですね。
襲色目の数は二百にものぼるとされますが、その代表的なものをご紹介します。






◇ 紅梅 表:紅梅 裏:蘇芳 
早春に色を愛でて楽しんだ紅梅を表しました。

◇ 黄柳 表:淡黄 裏:青(緑)
平安時代は「緑」は「青」と呼ばれていました。芽吹く柳を表現。

◇ 若緑 表:萌葱 裏:紫 
芽吹く頃山全体が赤らんでみえることがあります。

◇ 藤 表:薄紫 裏:青(緑)
 紫は最高位の色。樹齢が千年にも及ぶ藤は長寿の意味も。



◇ 葵 表:淡青 裏:薄紫 
盛夏の頃、緑色の葉の間に美しく咲き誇る立葵。

◇ 百合 表:赤 裏:朽葉
朱色に黄色の筋と朱の斑点のあるヒメユリを表現。

◇ 花菖蒲 表:白 裏:萌葱 
 萌葱色の新緑に凛と咲く白い花菖蒲。

◇ 橘 表:白 裏:青
 実は黄ですが、花は美しい白。縁起の良い花です。



◇ 女郎花 表:経青×緯黄 裏:青(緑) 
秋の七草のひとつ。小さな花が群がって咲く様子。

◇ 落栗色 表:蘇芳 裏:香
 暮れゆく秋を落ちた栗の趣ある姿に写して。

◇ 桔梗 表:二藍 裏:青(緑)  
 楚々とした風情の高貴な色を静かに愛でる秋。

◇ 竜胆 表:蘇芳 裏:青(緑)
 青紫の鐘状の花をつけ、漢方薬にも用いられます。



◇ 枯色 表:淡香 裏:青(緑) 
荒涼たる枯野の風情を落ち着いた配色で。

◇ 椿 表:蘇芳 裏:赤
寒椿の鮮やかな赤に冬景色のしっとりとした趣を感じて。

◇ 移菊 表:紫 裏:青(緑) 
 白菊の花弁の先が紫がかるといよいよ冬の到来を思わせます。

◇ 初雪 表:白 裏:紅梅
初雪が降る中、健気に咲く梅の花の美しい冬の風景を色に。



※参考サイト
「日笠真理」サイトへ

襲色目(かさねのいろめ)

平安時代の王朝の女房の装束である十二単(じゅうにひとえ)に象徴されるように、平安時代の貴族が衣を何枚も重ね着したのが「襲色目(かさねのいろめ)」の始まりです。
表地と裏地の組み合わせを「重ね色」と呼んだことから、それらを含めて「襲色目」と呼ぶようになりました。


日本の代表的な伝統色50色




草木染め

平安時代から、衣服の染織には植物染料が使われてきました。
草木染は昭和初期に作家の山崎斌(あきら)氏が命名し、商標登録をしましたが、現在では公知公用となり、「植物染」の意味で用いられています。

植物の葉、枝、幹、樹皮、花びらなどに含まれる色素を取り出し、媒染剤を使用して色を定着させます。


平安時代に代表的だったとされる草木染

山梔子(黄)
藍(青)
紅花(赤)
刈安(黄)
日本茜(赤)
黄檗(黄)
紫草(紫)
蘇芳(赤)