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着物トラブル解決法

  

今日からあなたもお手入れの達人

プロフィール お手入れの達人: 富田清実

「きものおたすけくらぶ」主宰のきものお手入れ博士。
お手入れのプロフェッショナルとして、きもの好きの女性の悩みを日々解決している。
その人望の厚さと顔の広さで、きもの業界を超えて、富田ファン急増中!

お手入れ博士・富田さんに学ぶ! 今日からあなたもお手入れの達人

物を大切にしてきた日本人。

一枚のきものを長く着るために昔の主婦たちはお手入れの知恵をたくさん持っていました。
大好きなきものをずっと大切に着続けたい、それは昔も今も変わらない女性たちの願いです。

長持ちさせるコツはやはりお手入れじゃないでしょうか。
知る人ぞ知るお手入れの達人“富田清実さん”に さまざまな、お手入れの知恵を学びましょう。



きものトラブル解決法

1.シワ編 2.シミ編
3.カビ・汚れ・変色編 4.汗編
5.小物のお手入れ編 6.お直し編
7.悉皆編  
 
 

 

1.きものトラブル解決法「シワ編」

 できてし まったシワは、伸ばすしかありませんね~。
それはきものもお肌も同じこと!
私たち悉皆屋(しっかいや)にまかせていただければ、10代は若い肌に、いえ、ん~10年前の新品に近い状態にきれいに直してお返しすることができます。
プロ流アイロンのかけ方も載せましたのでぜひご参照ください。
 
 
1、きものにはあまり熱を加えないで。
 
絹のきもの を中心に話をすると、まず、きものにはあまり熱を加えないほうがいいので、アイロンはあまりかけないようにしたいものです。
 
きものを着る前日に、たとう紙 からきものを出して確認し、気になるシワがあったら、一晩ハンガーか衣桁に掛けておきます。それでたいていのシワがとれます。その前に、まずシワにならな いようにたたむことが大切なのですが、それは後でじっくり解説いたします。
 
 
2、家庭用スチームアイロンに注意。
 
注意していただきたいのは、家庭用のスチームアイロンです。確かにスチームをかけたほうがシワは取りやすいのですが、家庭用のものはスチームが強いので、一 カ所に集中してスチームが当たりがちに。それが、きものの色ムラなどの原因になります。
 
どうしても、ガンコなシワが落ちない場合は、手ぬぐいを水で濡らし て固くしぼったもの、または、無地の薄い紙を濡れタオルなどで叩いて、まんべんなく湿らせたものをシワの上に置き、ドライモードでアイロンをかけると良い でしょう。
 
ガンコなシワは、部分的にアイロンをかけます。まんべんなく湿らせた紙や布を上に置いてみましょう。

 
3、富田流 アイロンかけのコツ
 
1.まず、きものの裏の裾からスタート。
裾線がまっすぐになるように縫い目、折り目が垂直になるように、左手を上手く使いながらかけます。
力は入れません。
プロ用のアイロンは、弱い蒸気が常に一定量出るようになっています。

2.裾からおなかの周辺をかけ、最後に衿をかけますが、時々ハンガーに吊るして、垂直に布目が落ちているか、裏地がたるみ過ぎていないか、逆に表地よりも縮んでいないかを確認して、再びアイロンで整えていきます。
 
3.裏をかけ終わったら表をかけます。
家庭でかける場合は、当て布をしたほうが安全です。
表も裏と同じように裾からかけます。
裾線、縫い目、そして折り目が垂直になるように、左手の使い方がポイントです。
 
4.きものの縫い目は、必ず「きせ」がかかっています。
この「きせ」がきものの全体のやわらかい雰囲気をつくりだしているのです。
ですので、これをつぶさないように、「きせ」のところはアイロンを乗せずに少し浮かして、弱い蒸気を当てるのみです。
 
 
4、富田流 きものを美しくたたむ
 
「きものを たたむ」。
これがきものにシワをつくらない一番のお手入れです。
きものはまっすぐの縫い目を合わせてたたんでいくだけですので、コツさえつかめば、洋服よ りもずっと簡単に、しかも美しくたたむことができます。
 
この「きもののための時間」を積極的に楽しむこと、私はそれが心の豊かさの証であるような気がするのです。
おすすめは、ただ「きものをたたむ」だけでなく 「美しくたたむ」ということです。
美しくたたまれたきものを見て豊かな気持ちになれたら、あなたも お手入れの達人です!
 
 
 
きもの”を美しくたたんでみよう!
 

 

 
 

2.きものトラブル解決法「シミ編」

私たちの技 をもってしても落とせないシミや汚れはあります。落とせたとしても、大変な料金がかかってしまう例も多くあります。きものを着たらなるべく汚さない。しつ こいようですが数回お召しになったきものは、汚れが付いていると感じなくてもシーズンオフには、「お手入れ」に出していただくのがベストです。それが、結 局は一番経済的であり、環境に優しい生き方につながっていくものだと思います。


1、赤ワインは、落とせる自信がありません!

油、ジュース・ワインなどの果汁のシミ、口紅・ファンデーション、しょうゆ、ソース……。
時代とともに日本人のライフスタイルが変わっているのが、シミが付いたきものを見ていると分かります。

今あげた、最近多いシミの中で、一番やっかいなのは、赤ワイン! 染料のように付着して、プロでも落とせないことがあります。
絶対にこぼさない、という自信がある人はもちろん別ですが、「きもので赤ワイン・パーティー」なんて、企画しないでくださいね。



2、絶対にお湯は使わないで。
 
赤ワイン以外のシミでしたら、たいていは落とせます。ただしすぐに呉服屋さんに預けていただくこと(呉服屋さんを通して私たち悉皆屋の手元に届きます)。

シミが付いたときに慌ててお湯で拭かないことが大事です。お湯で拭いてしまうと、これもまた染色したようにきものに付着してしまい、プロでも落とせないやっかいなシミになってしまうのです。

まずは、何もしないで預けていただくのが一番良いのですが、胸の辺りなど、目立つところに付いてしまったときは、まず、汚れが広がらないようにティッシュなどで水分を拭き取り、水を含ませてしぼった布でトントンたたきます。
生地が傷みますのでこすらないようにしましょう。



3.血液のシミこそおまかせください。

生理の血が付いてしまったのを恥ずかしがって、ご自分で落とそうとしたり、いつまでもお手入れに出さない方が多いのが残念です。
お気持ちはとっても良く分かるのですが、血液のシミは、私たちにまかせていただければ、すぐにきれいに落とすことができます。

すぐに落とせるということは、シミ抜き代が比較的安価で済むということです。
どうぞ、恥ずかしがらずに、すぐにお預けください。



4.いつ、何で汚したかを伝えてください。

例えば、ファンデーションや袖口・衿の皮脂などの汚れは油性のものです。
これは石油溶剤でないときれいになりません。石油溶剤で洗っても落ちない汚れは水溶性のものです。

そうすると水溶性の汚れ落としを施すことになります。
これが逆になると、つまり、油性の汚れに対して最初に水溶性の汚れ落としをしてしまうと、油性のシミは落ちなくなってしまうんです。
いざ、お手入れに出すとき、「これは何のシミだっけ?」なんてことにならないように、みなさんよろしくお願いしますね!

 

 
 

3.きもののトラブル解決法「カビ・汚れ・変色編」


1、まず、きものを汚さないように!

着付けをする前には、手や首筋をきれいにしておきましょう。
畳や床もきれいにしておきます。
たとう紙や風呂敷を広げて、その上で着付けると、きものの裾が汚れません。
外出の際は、食事のときに膝に広げる用と、胸にかける用の大判のハンカチを二枚持っていくと便利です。
 
  

2、きものは新鮮な風が大好き!
 
しまいっぱなしにしていたきものの変色。これは、プロでも落とすのが大変です。
最近の密閉性の高い住宅では、たんすの中でもきものが傷みやすくなっています。
たんすの引き出しをまめに開けるなど、なるべくきものを新鮮な空気に触れさせましょう。

また、海や湖、川に近いお住まいの方は、カビの発生率が高いので要注意です。
虫干しは年に二回。初夏の五~六月、晩秋の十一月ごろ。
窓を開け放しにしていると、ちょっと寒いかな、というぐらいの陽気で、お天気の良い日が続いているころがいいと思います。


3、きものにあらかじめ加工をしておきましょう。
 
悉皆屋がこういうものをすすめると商売にならない!
なんて仲間からおしかりを受けるかもしれませんが、私は、みなさんのきものや帯に、「フッ素樹脂加工」をおすすめします。

名称は、加工会社によってそれぞれ違いますので、まずは、誂えた呉服屋さんに相談してみてください。
この加工をして
おくと、水や油をはじいてくれるので、汚れてもお手入れがたいへん楽になり、お手入れ代も安価で済みます。
もちろん、
通気性や風合いはまったく変わりません。


4、ウールと絹の同居は危険です。
 
絹のきものとウールのきものを一緒のタンスに入れると、ウールに取りついた虫が、絹にもついてしまいます。
絹物とウールは、なるべく別のタンスに保管するようにしましょう。

絹の保管には、防虫剤よりもシリカゲルのような乾燥剤がおすすめです。
防虫剤を入れるときには、注意書きを読んで、きものに向いているものを一種類のみにしましょう。

 

 
 

4.きもののトラブル解決法「汗編」


夏のきもの美人は、何か特別なオーラを放っていて、男としてグッときてしまうんですよね。
でも、汗をかくのは健康な証拠です。
きものを着てたっぷり汗をかいた後の脱いだ瞬間が快感で……、なんていうきもの通もいます。
汗はがまんしないで、着た後は、しっかりお手入れしましょう。


1、脱いだら、2時間以上風を通す

汗による「湿気」はきものの大敵です。まず、脱いだ後は、必ず衣桁などにかけて乾燥させましょう。
かける場所は、風通しがよく直射日光の当たらない部屋で。もちろん長襦袢や帯も一緒です。
ただし、日本の夏はそれでなくとも湿気が高いので、窓を開けるとかえって湿気を呼び込んでしまうこともあります。
その場合は、クーラーの効いた部屋で扇風機を使って湿気を飛ばすと良いでしょう。


2、タオル2枚づかいで汗を移動させましょう

汗をたっぷりかいて、匂いや汚れが気になるというときは、タオルを敷き、きものの表地を下にして、裏から水で絞ったタオルでトントンと叩きます。
汗をかきやすいのは、胸、背中(特に帯で巻いた部分)、脇の下、お尻、衿、正座をする方ならひざの裏などです。
ただし、水分で縮む素材もあるので素材をよく確認してください。
また、これは夏場の応急処置なので、シーズンオフには私たちプロにおまかせください。


3、汗取り用の下着や補正を

夏場は暑いので、下着もついつい薄い素材を選びがちなのですがきもののためには、夏こそしっかり汗取り用のタオルを巻いたり専用の下着で汗対策することをおすすめします。
特に最近の汗対策を考えた夏用下着は、不快なベトつき感を抑えるので、着ていたほうが快適だそうです。
ポイント2の作業も省けます。

 

 
 

5.きものトラブル解決法「小物のお手入れ編」


1、帯こそ、汚れています!

悉皆屋の仕事をしていて気になること、それは圧倒的にきもののお手入れが多いことです!
で、それの何が気になるのって? みなさん、帯のことを忘れているのではないかと心配なんです。
実は帯のシミ抜きはプロでもとっても厄介。
何らかの処理を施しても、その部分だけ白っぽく見えてしまったり、艶がなくなってしまうことが多いんです。
また、汗をかいた後、しっかり陰干しをしておかないと、タンスの中で帯芯がカビだらけになって、表地に影響が出てしまいます。
帯もきものとともにシーズンオフには、お手入れに出していただきたいのと、帯こそぜひ「フッ素樹脂加工」をおすすめします。



2、半衿、足袋は白さが命! こまめに洗濯を

半衿や足袋は、ご自宅でまずこまめに洗ってください。どうしても落ちない皮脂の汚れ、ファンデーションなどのシミ、さらに最近多い、アンティークの刺繍半衿やビーズの半衿の汚れなどは、私たちプロにおまかせください。
「ガン」という道具を使って、こすらずにあっという間に汚れを落とすことができます。

足袋の洗い方で私のおすすめは、足袋を履いたまま、お風呂に入り石鹸をつけて両足でこすり合わせるようにして汚れを落としてしまうことです。
そうすると型くずれすることもなく楽ですよ。一度お試しください。



3、挑戦!! お風呂で足袋洗い 編集部が挑戦しました!!
1.まず、石鹸が全体に回るように、両足でゴシゴシします。




2.最近のお気に入りは、この専用足袋洗いです。足袋の形にちょうど良くフィットします。




3.底も洗います。




4.逆の足も。足袋洗いの刺激がちょうど良く足ツボ・マッサージのよう。




5.コハゼを取ってヘリを洗ってから脱ぎます。よく濯いでから、パンパンとたたき、普通に干しました!




4、帯締の房を元通りにする

帯締は、房をきれいに整えてからしまうようにしましょう。ピンセット、スチームアイロン、紙、ハサミをご用意ください。
1.パサパサに乱れてしまった帯締の房は、まずピンセットなど先の細いもので、房どおしの絡まりを整えます。





2.次にスチームアイロンの蒸気を当てます。





3.房のサイズに切った紙を用意します。まず帯締に一巻きしてから、房に移動させ、クルクルと巻いて、のりなどで留めます。





4.紙で包んだ後、先端がはみ出ている分はきれいにカットします。
(※カットできない房もあります)





5.出来ました。反対側の房も同様に。





6.ついでに、カットした紙を2枚用意し帯締を折りたたんだら、2カ所に紙を巻いて留めます。真ん中の1カ所でもOKです。

 

6.きものトラブル解決法「お直し編」

本にはタンスの中にしまわれたままになっているきものが、まだ8億枚以上あるといわれています。
何世代にもわたって着継ぐことができるのがきものの素晴らしいところです。裄出し、袖丈直し、身幅や身丈直し、さらには染め替えまで、きものは意外と柔軟で、融通が効くようにできています。ぜひ、生かしてくださいね。
 
 
1、お下がりのきものが小さいときは?
 
きものは、仕立て直すことも、洗い張り(一度きものをほどいて反物に戻して洗い、新たに仕立てること)もできます。
縫い込みがあれば裄や袖を出すこともできますし、身幅や身丈を出すこともできます。
ただし、二カ所以上の直しでしたら、仕立て直してしまったほうが安上がりの場合があります。
まず、近くの呉服屋さんにきものを持って行って見てもらい、見積もりを取ってみましょう。
 
 
2、どうしても抜けないシミやヤケは?
 
きものには「染め替え」という技術があります。無地でも柄があっても、地色を替えることができます。
ヤケてしまった昔の
きものを染め替えてコートにしたり、色無地を鮮やかな色に替えて、娘さんに譲ったりもできます。
また、小さなシミでした
らそこに柄を描き足したり、刺繍を施したりもできます。色見本を置いてある呉服屋もあるので、ご相談を。

 
3、きものに虫食いができてしまったら?
 
胴裏と似た生地を貼って、柄のところならば、上から絵を書いたり、無地ならば、同じ色で縫ったりします。
遠目ではほとんど分からなくすることができます。
 
 
 

 

7.きものトラブル解決法「悉皆編」



繊細で高度な、きものリメイクの技をご紹介します。
あきらめていたきものが復活します。
1、染め替え

色ムラのある小紋を、思いきって鮮やかな紅に。



2、柄足し

落ちないシミの部分に、同じタッチで桜の花を描き足しました



3、黄変修正

黄変抜きの薬品を使用後、元の色をかけて分からないように復元しました。



4、色焼け直し

汚れを落とし、失われた色素を分析。数色の複合色を丹念に色焼け部分にかけていきました。



5、履物のお手入れ

・履いた後は風通しの良い場所で陰干しを。割り箸を2本置いて、その上に履物を乗せておけば、底もよく乾きます。

・エナメル(皮革)/エナメル専用のクリーナーを、柔らかい布で伸ばして拭きます。さらに乾いてからよく磨いてください。

・合成皮革/堅くしぼった布で拭き、その後乾いた布で水気を取ります。

・佐賀錦などの布製/やわらかなブラシで、誇りや汚れを落とします。卓上用の小さな掃除機を使っても。

・ワニ革などの爬虫類/乾いたやわらかい布でよく拭いて汚れを落とします。クリーナーを使うとツヤがなくなることがあるので注意。

・パナマ、麻など/表目に沿って、ブラシでホコリをはらいます。綿に酢やオキシフルを少しだけつけて手早く拭き、乾いた布で湿気を取ります。

・下駄/白木ならば堅く絞った布で、塗り物ならば乾いた布で拭き、陰干しします。